入社2年目で、
海外現地法人の「社長」に就任

「40歳までに社長になる」。アメリカの大学に通っていた頃、18歳の私が立てた目標です。それが、この会社に転職して2年目で叶うことになるとは。転職活動を始めたのは、まだコネクティッドカーという言葉さえ普及していなかった7年前。「クルマをネットワークに繋げて、新しいモビリティサービスを生み出していく」という、まるでSFかアニメの世界のようなTCのビジョンに大きな可能性を感じて入社を決めました。
配属は、海外ビジネスを本格的に推進するために立ち上がったグローバルマーケティング部。与えられたミッションは、アジアや中近東でスマホベースのテレマティクスサービスを展開していくこと。そして、入社2年目に出された辞令が「ドバイに新会社を設立する。その立ち上げから関わってほしい」というものでした。正直、驚きました。入社間もない私に、これほど大きな機会を与えてくれるとは。まずは現地法人の副社長として赴任し、1年目の功績が認められて社長へ。会社員でありながら社長。予想もしなかった形で目標が実現し、私の挑戦は始まったのです。

トヨタコネクティッド 新事業開発室 室長 写真

文化や価値観が違うからこそ、つくり出せるもの

UAEの国民は約9割が移民。現地採用した社員も国籍がすべて違っていました。そんな環境で、意志の疎通を図り、ビジネスを運営していくのは本当に大変です。しかし、だからこそおもしろい。自分とは違う文化、歴史、宗教、価値観、商習慣などを受け入れながら、現地の人々とひとつのものをつくり出していったことは、とてもいい経験になりました。
思いのほか苦労したのは、未知の世界である「経営」でした。マネジメントの経験はありましたが、部署をとりまとめるのとはわけが違います。単に数字や商況を見るだけでなく、経営者としての視点で、いかに的確な判断をするか。何度も壁にぶつかりながら、学んでいきました。また、現地ではエンドユーザーの方々にも接する機会も。いろいろとリサーチするうちに、ただ使い勝手がよいだけではなく、自動車メーカーならではの「安全安心」と快適便利な「インフォテイメント」を両立させていくことが求められていると実感しました。

トヨタコネクティッド 新事業開発室 室長 写真

まだ見ぬ答えをかたちにする、
という醍醐味

3年間のドバイでの任期を終えて帰国。現在は室長として、タイ・中近東・インドへの海外事業展開の管理・運営を統括しています。将来的に各国でコネクティッドカーが普及していけば、これまでのスマホベースのサービスから本格的なモビリティサービスへの移行をめざしていく予定。自動運転などクルマの進化に伴い、テレマティクスサービスもさまざまな可能性を秘めています。
今後は、ITを活用して、いかにクルマの安全安心を守り、さらに楽しめる快適な空間にしていくか。そのためは、どんなサービスが必要なのか。その明確な答えはまだありません。だからこそ、この仕事には未知の領域を開拓していく醍醐味がある。ある意味、社会を変えていくインフラに近い事業に携わっている誇りも感じます。最新の技術をいかに魅力的な商品としてパッケージングするか。スマホのように人々の生活に溶け込み、なくてはならないサービスを世に出したい。それが、私の次の目標です。